きらいだったはずなのに!
演技かそうじゃないかは別として、こんな顔されたら頭に上っていた血もするすると下がっていくような気がした。
それはもういいんだけど。
顔がちょっと近いかな、なーんて。
さすがのあたしでも、いくらきらいな人に似ているからって、整った顔が間近にあったら恥ずかしくなる。
さっきとは別の意味で顔が熱くなるのを感じた。
「なんか、さっきより顔赤くね?」
そんな言葉に更に熱は上がる。
もはや、叩かれた赤さなのか、それとも違うのかはわからない。
そして、いつの間にか涙は止まってた。
「あの、もう手離してくれます?」
勉強しないでなにやってんだか、あたしたち。
思わず大きなため息が出た。
ていうか、桐島さん給料泥棒と同じだぞこのままじゃ。
そして、なぜか微動だにしない桐島さん。
どうしたんだ、この人は。