きらいだったはずなのに!
だから、なぜか距離があく。
距離をとっちゃう。
桐島さんの性格がそんなに良くないのはもう知ってるけど、あたしにこうやって直接思ってることを言ってくるから、悠斗とは本質的には違うんだろうなって思う。
第一、桐島さんと悠斗は別人、赤の他人だ。
桐島さんは悪い人じゃないと思いたいだけなのかもしれない。
だけど、やっぱり悠人とは違う気がする。
あたしがいくら二重人格の人が嫌いだって言っても、そんなことは桐島さんには関係ない。
それに、勉強を教えてもらってる間くらい、嫌いとかそういう感情をなくして、桐島さんと一緒に頑張りたいって思ってる。
……つまり、なにが言いたいかというと。
あたしは、少なくとも桐島さんを嫌いじゃなくなったってこと。
好きとは言えない。
だから、そうだな。
なんて言えばいいんだろう?
好きでもなく、嫌いでもなく、だからと言って普通って言うのもちょっと違う。
……そうだ、苦手。
そのくらいの表現がちょうどいいのかもしれない。
「おい、おまえ。さっきからなに見てんだよ」
桐島さんを見ながらそんなことを考えていたら睨まれちゃったけど。
こういうやりとりも悪くないなあなんて、そう思ったんだ。