きらいだったはずなのに!
5.知らないあいつ
セミが煩く鳴いている今日この頃。
じりじりと焼けるように熱い、七月二十四日。
なんと、明日から待ちに待った夏休みだ。
「やったー! 見てよ、ミヤコちゃんっ、この答案を! そして生まれ変わったあたしを!」
「あーはいはい。よかったね」
飛び上がって喜ぶあたしに、冷たく返すミヤコちゃん。
でも、そんな冷徹なミヤコちゃんの反応も気にならないくらいに、あたしはテンションが上がっている。
だって、だって……!
「祝! 補習免除けって~い!」
ひとりで万歳して喜ぶあたしに、クラスメイトの何人かは拍手をくれた。
それに、「どーもどーも」と返事をする。
ミヤコちゃんは相変わらず冷ややかな目であたしを見てるけど。
そう、桐島さんがカテキョになって早一か月が過ぎ、今あたしが手にしているのは最近あった期末テストの結果だ。
もうね、桐島さんのすごさには頭が上がらないって痛感した。
だって、たった一か月でこれだけの成績を出せたんだから。