きらいだったはずなのに!
「ミヤコちゃーん、褒めて! 全教科、今までの中で最高得点なんだよ。赤点もなかったしっ」
これはさすがのミヤコちゃんでも、あたしを褒めないわけにいかないでしょ。
「……すごいね、おめでとう」
「めちゃめちゃ棒読みなんだけど!?」
ふくれっ面でミヤコちゃんを見ると、彼女の目線はその手にある本に向けられている。
ちょっと、人が話してるのに読書するとは何事ですか?
……まあ、いいや。
これがミヤコちゃんなんだから、しょうがない。
ふうっと息をついて、鞄に荷物を詰めて帰る準備をする。
今日は終業式だから午前放課。
いやー、あれだね。
夏休みなんて補習で遊ぶ時間ないって思ってたから、ほんとに嬉しい!
これぞ努力のたまもの。
桐島さんにカテキョについてもらったことも大きいんだけど、自分でもカテキョのあとに勉強ちゃんとしてたからね。
おかげで寝不足だけど、“バカ”のレッテルを引き剥がせる日もそう遠くないはずだ。
「おーい、杉浦。補習は免除だけど、お前には追加課題がたんまりと出てるから。喜んでるとこ悪いけどな」
ガッツポーズを決めるあたしの頭に、担任の無情な言葉が響く。