ナツコイ
そんな二人の姿を偶然見てしまったのは、リュウだった。
リュウは二人が出てきた所で、背を向ける。
「あれっ…俺、なんで…?」
「リュウくんっ」
「あっ…サクラ」
「…どうかした?」
「あっ…いや…」
「そう?そういえばさっき、神社にハルキくんに似た人がいたような気がしたんだけど…」
「えっ…!?ハルキ!?」
「うん…でも、女の子と一緒だったから違うかな?」
「いや…わかんねーよ?ハルキだって、誰かに恋するかもしれないだろ?」
「そっか?だとしたら、応援してあげたいねっ」
「……うん」
リュウはハルキ達が歩いて行った人混みの方を見る。
一緒にいたのは…ユイだった。
しかも、ユイのヤツ…泣いてた?
なんで…?
あの、ユイが?
泣かせたのは…ハルキか?
いや、でもハルキはそういうヤツじゃ…。
じゃぁ…なんで?
リュウは思わぬ出来事を前に、
“ なんで ” が頭から離れずにいたー。