ナツコイ


そんな二人の姿を偶然見てしまったのは、リュウだった。



リュウは二人が出てきた所で、背を向ける。



「あれっ…俺、なんで…?」



「リュウくんっ」



「あっ…サクラ」



「…どうかした?」



「あっ…いや…」



「そう?そういえばさっき、神社にハルキくんに似た人がいたような気がしたんだけど…」



「えっ…!?ハルキ!?」



「うん…でも、女の子と一緒だったから違うかな?」



「いや…わかんねーよ?ハルキだって、誰かに恋するかもしれないだろ?」



「そっか?だとしたら、応援してあげたいねっ」


「……うん」



リュウはハルキ達が歩いて行った人混みの方を見る。



一緒にいたのは…ユイだった。



しかも、ユイのヤツ…泣いてた?



なんで…?



あの、ユイが?



泣かせたのは…ハルキか?



いや、でもハルキはそういうヤツじゃ…。



じゃぁ…なんで?



リュウは思わぬ出来事を前に、

“ なんで ” が頭から離れずにいたー。




< 73 / 223 >

この作品をシェア

pagetop