理論と刀と恋の関係。
(ふん、分かってしまえばこっちのものよ!)



つまりは、土方さんのときみたいに沖田さんが居なかった日の指南役の技はノーマークで。



ノーマークの技なら通用するという訳だ。



(ただ、問題なのは何日目に沖田さんが居なかったのか、記憶があやふやなこと…)



っく、沖田さんのスケジュールをきちんと把握しておくべきだった!



今更な思いが込み上げる。



「…さ、そろそろ再開しよや」



中村くんが、悩み続けている私に声をかけた。



「策は思いついたかいな?」



私の顔を見て、思いついてないみたいやな…と小さくぼやきながらも、しっかりと木刀を中段に構えた。



(…っ、どうしよう!

早く、何か策を練らないと…負ける!!)



中村くんは余裕の笑みで木刀を振りかぶる。



とにかく、当たる訳にはいかない、と私は中村くんの攻撃を避け続ける。



シュッ、ヒュンッ、と風を切る音だけが響いた。



「なに、避け続けるつもりなん?」



面白ないんやけど…という彼に、むっとしながら言い返す。



「考え中…なんですよっ」



私は道場の中を逃げ回りながら叫んだ。



周りのギャラリーがちらりちらりと視界に入る。



審判の原田さんに井上さん、山南さん。



近藤さん、土方さん、藤堂さんに永倉さん、そして、沖田さん_______。



(_______っ!!)



そうだ、確実にノーマークの技が、もう1つだけあるわ!!
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