理論と刀と恋の関係。
…それは、一昨日の午後のことだった。


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「ねぇ…平助、今何を隠したの?」



「ぅぎゃ!?総司!!?

いや、俺は別に何も、いいい稲田屋の団子なんて、隠してないからなっ!!」



この日の指南役は土方さんで、私は午前中見た土方さんの技を練習しているところだった。



「へぇ…稲田屋の団子、ねえ。

団子、ねー…」



「な…絶対総司にはあげねーぞ!

お前、全部食うだろ!!」



「はーい、道場行こっかー」



にやにやと笑う沖田さんと、明らかにびびっている藤堂さんが歩いていた。



…というより、藤堂さんが沖田さんに追い詰められ……連行されていた。



(うわ…可哀想)



こういうことは結構あったりする。



大体が、沖田さんが試合がしたいがための言い訳…のようなものだけど。



今回は、甘味も絡んでいるから、理由からして結構ガチだ。



(…目が全然笑ってないもの)



藤堂さん、ご愁傷様です。



…さて、私も練習に戻らなくちゃ。



「…って、言ってもなー」



ここ数日で私が分かったことそれは、案外土方さんは道場に顔を出す、ということだ。



副長さんだし、デスクワークばかりなのかと思っていたけれど、ご本人はどうやら結構稽古好きのようで、暇さえあれば道場に来て、指南役をかってでている。



私自身、土方さんの指南稽古はもう3回も見たのだ。



(誰か他の幹部の人が試合してないかしら…)



うーん、と頭をひねる…



…あ!



そういえばさっき、沖田さんが藤堂さんを連行してたじゃん!



(よし、見に行こっ)



思い立ったらすぐ行動。



私は木刀を片付けて、バインダーとシャーペンを引っ掴んで走り出した。
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