理論と刀と恋の関係。
「っな゙!?」
「あの構え…」
「なあ近藤さん、あれって…!」



周りから驚きの声が聞こえる。



…僕だって、驚いてる。



なんで?どうして?その構えは_______



____僕の剣だ…。



「…天然理心流」



呟いたのは、近藤さんだった。



それに、土方さんが続ける。



「あいつの攻撃は全て、誰かの模倣だった。

最初は俺、次は斎藤…

そしてあれは天然理心流の平晴眼の構え。

…とすれば、次は総司だろうな」



僕はその言葉に引っ掛かりを感じた。



(〝最初は俺〟…?)



最初の技は…土方さんの模倣だったの?



まあ確かに…脛を打つとか、あの人やりそうだなー



…って、そんなことはどうでもいい!



ああだこうだと1人僕が考えている間にも、近藤さんと土方さんの会話は続く。



「だがよ、近藤さん…。

天然理心流はそうちっとやそっとじゃあ真似出来るもんじゃねぇだろ?

あれはれっきとした暗殺剣だ…」



「…ああ、その通りだよ。

だが、さっきのトシの技も斎藤くんの技も、完璧に近い動きだった。

宮瀬くんなら、やってのけてしまいそうじゃないか」



(うん…そうなんだよ。

彼女はやってのけてしまいそうなんだ…)



この勝負も、もうすぐ終わる。



結末を誰もが期待しながら。



近藤さんも土方さんも、他の幹部も。



…そして、僕も。



構えたまま睨み合う2人の剣士を、じっとみつめた。
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