理論と刀と恋の関係。
目の前で木刀を構えたまま、中村くんを凝視する。



(中村くんの目が泳いでる…

…ビンゴね。

この構えの情報は与えられてない!)



よし…行くわよ。



ダンっと強く床を踏みしめ、間合いを一気に詰める。



(木刀は目線の位置のまま、右足を25~8°外回転、そして木刀を持った手を50cm後ろに引く…)



中村くんは顔に戸惑いを浮かばせながらも、木刀を中段に構える。



中段の構えは、どこから攻撃がくるか分からない場合、1番効果的な構えだ。



でも、相手がこの構えをした時点で、攻撃の主導権が私の手の内にある事を示しているも同然…!



(右足を踏みしめ、前に飛び出し相手の首に水平に木刀を突く_______…)



「くっ」



だがこれは、紙一重で交わされた。



「ちっ」



思わず舌打ちが漏れる…



…でも、まだよ!



この技は、これで終わりじゃないわ。



(やや手首を下に傾けた状態で木刀を引き、左足が床に着くと同時に、今度は胴に向かって突き!)



中村くんの顔つきがさっと変わる。



…ガッ、胴に放った突きは受け止められた。



(もう…1回!!)



私は胸の前に木刀を引きつけ、相手の心臓目掛けて、放つ_______!!!



ヒュッと風を切り裂く音が響き。



「ゔ…ッ」



私の木刀は、中村くんの心臓の位置を突いた。
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