理論と刀と恋の関係。
「夕餉まであと2時間もない。

今日はもう開きにした方が良いのでは?」



その言葉にはっとして外を見ると、夕日が西の空に浮かんでいた。



山南さんがそれに続ける。



「…確かに、斉藤くんの言うとおりですね。

そろそろお開きにしましょうか。

4月上旬とはいえ、まだ夜は冷えますから。

風邪には気をつけてくださいね。




…今日は、本当に良い試合でしたよ。

お疲れ様」



失礼しました、と最後に付け加えて、山南さんは部屋を出ていった。



追いかけるように、源さんも退出。



また夕餉のときにね、と一声かけながら。



そんな些細な気遣いが嬉しい。



「んじゃ、俺もそろそろ行くかな〜。

近藤さん、ごっそさました!

じゃーな遥花、また夕餉でな。

…俺のこと、お兄ちゃんって呼んでもいいんだぜ?」



いたずらっぽく笑う新八っちゃんと、



「あっ新八っつぁん待てよ!

遥花の兄貴は俺だっつーの!!



…あ、近藤さん饅頭ごちそーさま!」



その後を追いかける平助くん。



(んなっ2人して…恥ずかしいんだけど)



嵐のように出ていった2人を見送りながら、私の顔は赤く染まった。



拳をプルプルと震わせていると、誰かに頭をぽんぽんっと撫でられる。



はっと上を向くと、そこにはにやっと微笑む左之くん。



「俺ももう行くわ。

遥花チャン、また夕餉でな?

近藤さん、ごちそーさまでしたー!」



最後にぽんぽんっとまた頭を2回撫で、左之くんも出ていった。



「ははっみんなもう宮瀬くんのことが大好きみたいだなあ」



「お前らもそろそろ行けよ。

夕餉まであと2時間もねーんだからよ。




…あと、宮瀬。

もしなんかあったら、隠さねーでとっとと言えよ?」



お父さんみたいな近藤さんと、遠回しに心配してくれる土方さんに送られて、



「行きましょうか、遥花さん」



沖田さんと共に、私も局長室をお暇した。
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