理論と刀と恋の関係。
沖田さんに手を引かれて、屯所の中を歩く。
彼の説明で今まで知らなかった場所が分かり、私の脳内では屯所の地図が出来上がっていく。
空いたパズルにピースを埋めていくみたいで、楽しい。
時刻は14時30分、雨はまだやまない。
お庭の案内もしてほしかったけれど、今日は無理そうだ。
土方さんの部屋の前を通り過ぎ(沖田さんが障子に落書きしようとしていたので止めた)、局長室が見えてきたとき。
スパンッと鋭い音をたてて、局長室の障子が開かれた。
(あんな開け方する人、沖田さんの他にもいるんだ…)
そのまま見ていると、中からガタイの良い男の人が1人。
少し年配の方のようだ。近藤さんではない。
横で沖田さんが“げ…しまった”と呟く。
会いたくない人なのだろうか。
気にならないでもなかったが、沖田さんに手を引かれるままそこから立ち去ろうとする。
…が、遅かった。
「…む、沖田か?」
声をかけられてしまったのだ。
これはもう会うしかないだろう。
沖田さんが肩を落とす。
相手が誰だか知らないけれど、そんなに会いたくない人なのか。
どんな人なんだろう、と少しわくわくしながら私はこちらに歩み寄る人物を見つめる…
…と急に手を引っ張られ、沖田さんの後ろに追いやられた。
これじゃああの人の顔が見えない。
沖田さんの影から少し顔を出そうとすると、“ダメ”と沖田さんが小声で言った。
ああ、沖田さんが会いたくないのではなくて、私に会わせたくなかったのか。
じゃあ大人しくしていよう、と私が再び沖田さんの後ろに隠れたとき、局長室から出てきたその人は、沖田さんの近くまで来て、こう言った。
「…そこのおなご、顔をよく見せい」
沖田さんの手に、力がこもった。
彼の説明で今まで知らなかった場所が分かり、私の脳内では屯所の地図が出来上がっていく。
空いたパズルにピースを埋めていくみたいで、楽しい。
時刻は14時30分、雨はまだやまない。
お庭の案内もしてほしかったけれど、今日は無理そうだ。
土方さんの部屋の前を通り過ぎ(沖田さんが障子に落書きしようとしていたので止めた)、局長室が見えてきたとき。
スパンッと鋭い音をたてて、局長室の障子が開かれた。
(あんな開け方する人、沖田さんの他にもいるんだ…)
そのまま見ていると、中からガタイの良い男の人が1人。
少し年配の方のようだ。近藤さんではない。
横で沖田さんが“げ…しまった”と呟く。
会いたくない人なのだろうか。
気にならないでもなかったが、沖田さんに手を引かれるままそこから立ち去ろうとする。
…が、遅かった。
「…む、沖田か?」
声をかけられてしまったのだ。
これはもう会うしかないだろう。
沖田さんが肩を落とす。
相手が誰だか知らないけれど、そんなに会いたくない人なのか。
どんな人なんだろう、と少しわくわくしながら私はこちらに歩み寄る人物を見つめる…
…と急に手を引っ張られ、沖田さんの後ろに追いやられた。
これじゃああの人の顔が見えない。
沖田さんの影から少し顔を出そうとすると、“ダメ”と沖田さんが小声で言った。
ああ、沖田さんが会いたくないのではなくて、私に会わせたくなかったのか。
じゃあ大人しくしていよう、と私が再び沖田さんの後ろに隠れたとき、局長室から出てきたその人は、沖田さんの近くまで来て、こう言った。
「…そこのおなご、顔をよく見せい」
沖田さんの手に、力がこもった。