理論と刀と恋の関係。
「それで、今日の“すけじゅーる”とやらはどうなっているのです?」



沖田さんがくすくすと笑いながら言った。



それがとても楽しそうなので、こちらも自然と笑顔になる。



「えっと…今日は沖田さんが非番なので、午前中に買い物に行きます!」



「うん」



「買うものは、着物と袴で、」



「はいはい」



「それが買えたら帰ってきて、お昼ごはんを食べて、」



「はいはい」



あれやって、これやって、と私が予定を言うたびに、沖田さんが相槌をうつ。



前回、インドアだなんだと言っていたくせに、私は今日のお出かけを結構楽しみにしていたのだ。



時代は違えど、私が生まれ育った京都の街だ。



行くのが楽しみじゃないわけがない。



「それと…それと、午後は沖田さんの診察を、行います…!」



さっきまでの調子を崩さないように、明るく私はそう言った。



そう、今日は沖田さんの診察をする日でもあるのだ。



肺結核…労咳を防ぐ為に。



私が出来ることなんて、限られているから。



とにかく免疫力を上げるためにも、きっちりと彼の体調を管理しないと。



「沖田さん、逃げないでくださいね?」



「…はい、はい」



沖田さんは一瞬顔に心配を漂わせながらも、さっきまでのように相槌をうち。



「まあ、取り敢えずは京見物を兼ねての買い物ですね!」



再びにっこりと笑ってそう言った。



そんな彼に、私も笑顔を返す。



「案内してくださいね、沖田さん!」



「ええ、もちろんですよ!」



そうして、私達は京都の街に繰り出すのだった。
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