理論と刀と恋の関係。
* * *
「あらあら、かわええお客はんだこと!
今日は何を買いに来たんどすか?
振袖?友禅?最近流行りの更紗なんてどうどすか?
それとも…彼に打掛でも買うてもらいます?」
「ちょっと!何言ってるんですかお妙さん!!」
外に出た私たち。
まずは着物ですよね、と言う沖田さんに連れられて入ったのがここ、呉服屋・麻水。
未来でいう古着屋さんで、男物も女物も、普段着から礼服までなんでも置いてあるらしい。
なぜかは謎だが、沖田さんはここの女主人と仲が良いらしく、目の前で会話が弾む、弾む。
お妙さんと呼ばれた女性は40~50代くらいの人で、その手は日々の家事のせいだろうか、全体的にあかぎれがひどく、カサついていたけれど、顔はとても若々しくて…なんていうか、綺麗に年をとった感じだった。
…かっこいい。
(それにしても、色んな着物があるなあ…)
着物について私は素人同然だ。
昔、本で少し読んだから、色んな種類
の着物があることは知っているし、夏祭りで浴衣を着たから普通に着ることくらいはできる。多分。
(そういえば…ここに来たばかりのとき、沖田さんに着替えを渡されて焦ったわ…。
着物なんて、未来じゃ着ないもの)
夏祭りのときの記憶をひっぱりだして、四苦八苦しながら着替えたことを思い出す。
今じゃすっかり慣れたけれど。
あれこれ考えていると、唐突にぐいっと腕を引っ張られた。
「そう赤くならいでおくない、沖田はん。
冗談どすから。
そないなら、あたしはこの子と着物を選んできます~」
私の両腕をがっちりとロックオンしているのはお妙さんだった。
沖田さんの方をみれば……あれ、沖田さん?
きょろきょろと辺りを見回すと、お店の隅で彼はしゃがみこんでいた。
顔を覆う両手の隙間からちらりと見える横顔は赤い。
いつも人をからかうのが専門の沖田さんをあんなにするなんて…お妙さん、なんて言ったんだろう。
「ささ、遥花ちゃん…どすやろ?
おばちゃんと一緒にお着物選びにいきましょうか」
「は、はい!」
沖田さんに一声かけるべきか迷ったが、私は結局何も言わず、お妙さんと共に店の奥へと進むのだった。
「あらあら、かわええお客はんだこと!
今日は何を買いに来たんどすか?
振袖?友禅?最近流行りの更紗なんてどうどすか?
それとも…彼に打掛でも買うてもらいます?」
「ちょっと!何言ってるんですかお妙さん!!」
外に出た私たち。
まずは着物ですよね、と言う沖田さんに連れられて入ったのがここ、呉服屋・麻水。
未来でいう古着屋さんで、男物も女物も、普段着から礼服までなんでも置いてあるらしい。
なぜかは謎だが、沖田さんはここの女主人と仲が良いらしく、目の前で会話が弾む、弾む。
お妙さんと呼ばれた女性は40~50代くらいの人で、その手は日々の家事のせいだろうか、全体的にあかぎれがひどく、カサついていたけれど、顔はとても若々しくて…なんていうか、綺麗に年をとった感じだった。
…かっこいい。
(それにしても、色んな着物があるなあ…)
着物について私は素人同然だ。
昔、本で少し読んだから、色んな種類
の着物があることは知っているし、夏祭りで浴衣を着たから普通に着ることくらいはできる。多分。
(そういえば…ここに来たばかりのとき、沖田さんに着替えを渡されて焦ったわ…。
着物なんて、未来じゃ着ないもの)
夏祭りのときの記憶をひっぱりだして、四苦八苦しながら着替えたことを思い出す。
今じゃすっかり慣れたけれど。
あれこれ考えていると、唐突にぐいっと腕を引っ張られた。
「そう赤くならいでおくない、沖田はん。
冗談どすから。
そないなら、あたしはこの子と着物を選んできます~」
私の両腕をがっちりとロックオンしているのはお妙さんだった。
沖田さんの方をみれば……あれ、沖田さん?
きょろきょろと辺りを見回すと、お店の隅で彼はしゃがみこんでいた。
顔を覆う両手の隙間からちらりと見える横顔は赤い。
いつも人をからかうのが専門の沖田さんをあんなにするなんて…お妙さん、なんて言ったんだろう。
「ささ、遥花ちゃん…どすやろ?
おばちゃんと一緒にお着物選びにいきましょうか」
「は、はい!」
沖田さんに一声かけるべきか迷ったが、私は結局何も言わず、お妙さんと共に店の奥へと進むのだった。