理論と刀と恋の関係。
「い゙っ…ぎゃぁぁあぁあああ゙あ゙!!」



男が刀を落とした。



その刀を遠くに蹴り飛ばし、男の足を引っ掛け転ばせる。



微笑みを崩さず、私は続ける。



「痛いでしょう?

これはただ単に踏みつけるのとは訳が違う。

解説して差し上げましょうか」



男の返事は聞かず、また口を開く。



「私の体重は大体45kg位。
ニュートンに直せば45kg×9.8m/s=441N。

普通に片足で体重をかける場合、私の足の裏の面積を縦23cm×横7cm=161cm²、つまり0.0161m²とすると、かかる圧力は441N÷0.0161m²=27391.30…これ以上は面倒だから四捨五入すると…約27391.3Pa。」



ここまで理解できます?と問う。



…ぽかーんとしてるけれど、話を進めよう。



「ところがヒール…この尖った靴の踵に体重をかけた場合。

ヒールの先端部分の面積は縦2cm×横1cm=3cm²つまり0.0002m²。そうするとかかる圧力は…441N÷0.0002m²=2205000Paになるの。

分かるかしら?

普通に片足で体重をかけたときの圧力は27391.3Pa、ヒールに体重をかけたときの圧力は2205000Pa。

2205000÷27391.3で…約80倍もかかる圧力が違うのよ。」



私はまた足を振り上げ、地面に寝っ転がってまだ痛みに悶えている男の二の腕に、的確に踵を落とした。



「…ほら、痛いでしょう?

これからは、刀を持っているからといって良い気にならないことね」



私はそう言って足を戻す。



連れの男2人に軽く微笑むと、腕を抑えて叫んでいる男を起こし、顔を青くして逃げていった。



男達が居なくなったのを見て、安堵から溜め息をつく。






はは…やれば出来るじゃん、私。
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