理論と刀と恋の関係。
* * *




新幹線が発車した。



窓の外の景色が飛ぶように移り変わってゆく。



キャリーバッグは足元に、赤い革のバッグは隣の席が空いていたのでそこに置いた。



スーツケースは超大事なので膝の上に。



実はこのスーツケースの中には、様々な薬剤や、スポイトなどといった実験器具が入っていて。



ある意味、危険物。



だから、盗まれるなんてことは絶対あっちゃいけない。



そういう理由から、膝の上なのだ。






東京まで時間はあることだし、ちょっと寝ようかな...そう思って目を閉じようとしたそのとき、



“ガタンッ”



不自然な振動。



私は一気に現実に引き戻された。



車内の照明がフッと消える。



「ちょっとなにこれ、どういうこと!?」
「やだっ嫌!嫌だこわい!!」
「落ち着いてください!落ち着いてっ」



周りの乗客がパニックになっているのが分かる。



もちろん私だって何が起きているのか、どうしたら良いのか分からない。



そう、私はあまりにも慌てていて気がつかなかった。



...車両がどんどん傾いているということに。
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