理論と刀と恋の関係。
睨まれ続けてもう2〜30秒はたったと思う。



お互いに一言も発さない。



てゆーか私の場合は、怖くて口がきけない。



…泣く子も黙るなんとやら、という慣用句があるが。



今まで、怖かったら更に泣くだろ、と思っていたが、今ならその言葉の意味がわかる。



これは、ガチで泣けない。



…そんなことをつらつらと考えていたら、ようやく土方さんが口を開いた。



「顔色一つ変えない、か…。

まあいい。入れ」



そしてすたすたと部屋の中に入っていく。



(怖すぎて表情すら動かせなかっただけだと思うんだけどね…)



そう思いながら土方さんの後に続いて部屋に入る。



「失礼します」



前方から “まったくだ” と聞こえたような気がするが、そこはもう触れずに黙っておこう。
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