理論と刀と恋の関係。
そこからまた2、3分の無言の時間があり。



(もう思い出すのも怖いので、割愛させていただく)



その後ようやく…ようやく、沖田さんが数人の男の人を連れて部屋に戻ってきた。



その中でも1、2番を争うほどゴツく、貫禄のある人が私の真正面、その両隣に土方さんと眼鏡をかけた男の人、そして沖田さんなどあとの人達が私を囲むようにして座る。



…前からはともかく、横や後ろからも見られるというのは、案外精神的にくる。



くっと眉根を寄せたところで、土方さんがスラッと刀を抜いた。



そしてそれを私の首に添える。



「今からてめぇを尋問する。

1つ1つの質問に正直に答えろ。

場合によっては…この場でてめぇを斬る」



冷たい金属の感触と刺すような言葉が、私の恐怖を煽る。



平常心を保たなければ…と必死で心を落ち着かせ、“はい” と短く返事をした。



…彼女のその様子に幹部は驚きを隠せなかった。



小さな娘が、“あの” 土方に刀を突きつけられた状態で普通に返事を返すなんて、誰も想像していなかったのだ。



土方が刀を鞘に収めた。



しかし、彼女の緊張は収まらない。



次に、沖田が口を開いた。



「まず、名前を教えてください。

姓も、名も、どちらもです」



私は小さく息を吸い、答えた。



「宮瀬 遥花、です」



周りからの視線が強くなる。



嘘かどうかを見極めているのだろう。



「次の質問です。

あなたは、どこから来ましたか?」



…来た、この質問。



さて、どう答えるべきか。



私自身、まだ受け止めきれていないこの現状を、今日あったばかりの、しかも信用のない人間に話しても良いのだろうか。



…私が迷っていると分かったのだろう。



今度は沖田さんが刀を抜いた。



そして土方さんと同じように、私の首に当てる。



「言いなさい」



それはたった一言だったけれど、ひどく冷たい一言で。



拒否すれば斬られるのだと、私は無意識のうちに察した。



瞬きをひとつし、観念して口を開く。



「私は、」



沖田さんの目が細められる_______



「未来から来ました」



____そう言った瞬間、私の首にぴりっとした痛みが走った。
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