理論と刀と恋の関係。
たらり、と首を温いモノが伝う。



沖田さんはまだ私の首から刀を離さない。



私はまた口を開く。



「こんな話、信じられなくて当然です。

当事者の私でさえ、まだこの事実を受け入れられないのですから。

ですが、これは本当の事なんです。

…私は、この時代の人間じゃない」



私は沖田さんの目を見つめて言った。



沖田さんは一瞬動揺したものの、直ぐに表情を消してしまう。



意外にも、そこで声を発したのは土方さんだった。



「…証拠は」



沖田さんが “信じられない”、というような表情で土方さんを見る。



私は思いがけない言葉に、信じてもらうチャンスだ、と頭を落ち着かせる。



「私の荷物があれば、すぐにでも証拠を提示できます」


声が震えないように気をつけながら、私は土方さんにそう言った。
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