理論と刀と恋の関係。
土方さんが



「とってこい」



と言うと、私の斜め後ろから “はい” と返事が聞こえ、誰かが部屋から出ていった。



部屋は再び静寂に包まれる。



ここにいる全員の目が私に向けられているのを感じながら、ひたすら待つ。



少しして、荷物を取りに行った人が戻ってきた。



「持ってきたけどよー、これ、本当に嬢ちゃん1人で持ってきたのか?」



すげぇ重かったんだけど、とその人は言う。



それもその筈。



この時代の人からすれば当たり前っちゃ当たり前のことなのだが、彼はキャリーバッグ等々の私の荷物を、全て持ち上げた状態で持ってきたのだ。



(あのキャリーバッグを担げるなんて…さすがとしか言えないわね)



そう思いながら荷物を受け取るため立ち上がろうとすると、



「てめぇは動くな」



土方さんに待ったをかけられた。



(信用が無いってこういうことなのか…)



私は畳の上に座り直す。



私の前に荷物が並べられた。



「…動いて良い。

俺たちに証拠を見せてみろ。

但し、それが嘘だと分かったその時には、真実を話す気が無いものとみなし、問答無用で斬る」



土方さんがそう言い、沖田さんが首に添えていた刀を離した。



…私の未来証明が始まる。
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