理論と刀と恋の関係。
「まず初めに、未来では世界中の多種多様な文化が混ざりあっていますので、外来語…つまり、異国からきた言葉が多く出てきます。
意味の分からない言葉があったら、聞いてください。
説明しますので」
…土方さんも沖田さんも何も反応してくれない。
唯一、近藤さんだけが頷いてくれた。
(……。)
私は立ち上がり、キャリーバッグを掴む。
「これは、キャリーバッグというものです」
…何も言わない彼らを見つつも、説明をする。
「異国語で、“carry” は “運ぶ”、“bag” は“鞄”と言う意味で、これは旅行などで大荷物を運ぶときに使う物です」
…ちなみに、と私は続ける。
「この鞄は下に滑車が付いているので、持ち上げて運ぶ必要はないんです。
こうやって…」
私はキャリーバッグを引いて2、3歩ほど歩く。
「引きずる形で運ぶんです」
おぉ、と近藤さんが言ってくれた。
…ほんとに、この人がいなかったら私の心はボッキボキに折れていただろう。
土方さんを始め、他の方々は未だ眉間に皺状態。
(こうなったら、とことん驚かせてやる…!)
私は赤いバックからタブレットPCを取り出した。
「これは、“タブレット” というものです。
用途は様々。
“ネットワーク” というシステム…制度を利用して、世界中のありとあらゆる情報を閲覧したり、文書や写真などを保存したり」
ネットが使えないことは先程のスマホで実証済みなので、私はSDカード内の “マイピクチャ” のフォルダを開く。
友達と撮った写真やら、この前読んだ論文で使われていた図やグラフなどが画面に写される。
「どうぞ、見てください。
スクロール…
指でスライド…
…
……こうすると、別のものも見られます」
…言葉での説明を諦めた。
今までいかに外来語に頼っていたかを痛感する。
まぁとにかく、タブレットを近藤さん達の方に向けた。
これには、さすがの土方さんも沖田さんもびっくりした様だ。
後ろで座っていた人達もタブレットをのぞき込んで、うっわすげーとかなんとか言っている。
「こ、れは…」
土方さんが目を見開き、
「認めざるを得ないようですね…」
沖田さんが呟く。
(信じてもらえた…!)
そのことに途轍もない安心感を覚える。
そこに、再び土方さんが口を開いた。
「なぁ…。
お前が未来から来たということは、俺らの未来を、お前は知っているのか?」
その問いに過剰に反応する私。
それを見て、土方さんは “知っているんだな…” と小さく呟く。
「知りたい…ですか?」
私がおずおずと尋ねると、土方さんは意外にも、
「いや、いい」
と返した。
そして真っ直ぐに顔を上げると、静かに言う。
「俺らの行く末は、俺らの行動の終着点だ。
言ってみりゃ、俺らの未来を決めるのは、俺ら自身だろ?」
意味の分からない言葉があったら、聞いてください。
説明しますので」
…土方さんも沖田さんも何も反応してくれない。
唯一、近藤さんだけが頷いてくれた。
(……。)
私は立ち上がり、キャリーバッグを掴む。
「これは、キャリーバッグというものです」
…何も言わない彼らを見つつも、説明をする。
「異国語で、“carry” は “運ぶ”、“bag” は“鞄”と言う意味で、これは旅行などで大荷物を運ぶときに使う物です」
…ちなみに、と私は続ける。
「この鞄は下に滑車が付いているので、持ち上げて運ぶ必要はないんです。
こうやって…」
私はキャリーバッグを引いて2、3歩ほど歩く。
「引きずる形で運ぶんです」
おぉ、と近藤さんが言ってくれた。
…ほんとに、この人がいなかったら私の心はボッキボキに折れていただろう。
土方さんを始め、他の方々は未だ眉間に皺状態。
(こうなったら、とことん驚かせてやる…!)
私は赤いバックからタブレットPCを取り出した。
「これは、“タブレット” というものです。
用途は様々。
“ネットワーク” というシステム…制度を利用して、世界中のありとあらゆる情報を閲覧したり、文書や写真などを保存したり」
ネットが使えないことは先程のスマホで実証済みなので、私はSDカード内の “マイピクチャ” のフォルダを開く。
友達と撮った写真やら、この前読んだ論文で使われていた図やグラフなどが画面に写される。
「どうぞ、見てください。
スクロール…
指でスライド…
…
……こうすると、別のものも見られます」
…言葉での説明を諦めた。
今までいかに外来語に頼っていたかを痛感する。
まぁとにかく、タブレットを近藤さん達の方に向けた。
これには、さすがの土方さんも沖田さんもびっくりした様だ。
後ろで座っていた人達もタブレットをのぞき込んで、うっわすげーとかなんとか言っている。
「こ、れは…」
土方さんが目を見開き、
「認めざるを得ないようですね…」
沖田さんが呟く。
(信じてもらえた…!)
そのことに途轍もない安心感を覚える。
そこに、再び土方さんが口を開いた。
「なぁ…。
お前が未来から来たということは、俺らの未来を、お前は知っているのか?」
その問いに過剰に反応する私。
それを見て、土方さんは “知っているんだな…” と小さく呟く。
「知りたい…ですか?」
私がおずおずと尋ねると、土方さんは意外にも、
「いや、いい」
と返した。
そして真っ直ぐに顔を上げると、静かに言う。
「俺らの行く末は、俺らの行動の終着点だ。
言ってみりゃ、俺らの未来を決めるのは、俺ら自身だろ?」