理論と刀と恋の関係。
「そういえば」



荷物を整理していると、不意に沖田さんが声を上げた。



ん?と思って振り返ると、案外近くに沖田さんが座っていてびっくりする。



そんな私を余所に、沖田さんは更に私に近づいてきた。



そして徐ろに私の頬に手を添える。



(え…ちょっと、何!?)



目尻に指を置かれ、反射的に目を瞑った。



もうなんか変に緊張してがちがちに固まっていると、沖田さんの指はそっと私の瞼をなぞり、離れていった。



(な、何が起きたんだ…?)



恐る恐る目を開けると、自分の指先を不思議そうに眺める沖田さんの姿。



「あ、の」



「この、きらきらとしたものは何ですか?」



…私がちょー頑張って絞り出した問いかけは無視の方向なんですね、そーですか。



ややいじけながらも突き出された指先を見ると、そこには僅かに光るラメ。



…あ。



「アイシャドウ…」



そう、沖田さんの指先についていたのは私のアイシャドウだった。



「あい、しゃどう…ですか」



未来のものは変わった名前が多いですね、と沖田さんが呟く。



「それは、未来の化粧品なんです」



私がそう言うと、



「化粧品…

白粉や、紅の様なものですか…」



成程、と沖田さんは納得したご様子。



そして、こう言いやがった。



「化粧、おとしてみてくださいよ」



……は!?
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