理論と刀と恋の関係。
理由も過程も分からないけれど、私はこの幕末の世に来てしまった。



来た過程が分からないのなら、帰る方法も分からない。



だから、いつ元の時代に戻れるのか、そもそも戻れるのかどうかさえ分からない。



ならば、そのことについて悩むのは時間の無駄。



それに…



…この時代に来られたということは、この時代で生きても良いということ。



そうでしょう?



…歴史の改ざんとか。



そんなの知ったこっちゃないわ。



私には私の現代での生活があった。



大学や研究室。



もうそこに戻れるかは分からない。



そんな確証も無いものにしがみつきたくはない。



私がこっちに来た時から、此処が私の〝現代〟。



史実なんかじゃない、目の前で起こる事実よ。



だったら。



この世界で生きていく決意をしなきゃ。



〝未来を知っている〟



それは私が此処で生き抜いていくための武器。



…有効活用してみせよう。



私の生きたいように生きよう。



できるわ……必ず、できるわ。



「…変えてみせる」



歴史も、運命も、何もかも。
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