理論と刀と恋の関係。
「っはぁ、はぁ…」



全ての動きを終えた私は、木刀をだらん、と下ろし。



そして、そのまま床に座り込んだ。



「沖田さん…ありがとう、ございました…」



上がった息を整えながらも、お礼の言葉を沖田さんに伝える。



「今の…どうしたの」



ふいに聞こえた声に顔を上げれば、驚愕の表情を浮かべる沖田さん。



「君は全くの初心者の筈だ。

なんで今みたいな動きができた…?」



どうして、と沖田さんは私の肩を揺する。



そんな彼の目を見つめながら、私は口を開いた。



「…藤堂さん、ですよ。

先程の藤堂さんの試合を模倣したんです。

構えも、動きも…全てが同じになる様に」



(そう…私は藤堂さんの動きをコピーした。

私は刀の扱いが不十分だし力の差もあるから、完璧とは言い難いけれど…)



沖田さんは私の言葉を聞くと“そう…”と目を逸らし。



「やっぱり、君は面白いね。

…10日後が楽しみだよ」



少し哀しそうに、何か考えるように言った。



その思考を、私が知ることはあるのだろうか…
< 87 / 171 >

この作品をシェア

pagetop