理論と刀と恋の関係。
「Saitou Hazime (斉藤 一)…
He is left-handed, "Iai" is good
(彼は左利き、そして“居合い”を得意とする。)

…居合いって、英語でなんて言うんだろ…ま、ローマ字でいいか。」



私はぶつぶつと呟きながら、バインダーで挟んだルーズリーフに書いていく。



目の前では、斎藤さんが指南役をしているところだ。



それにしても…。



私はシャーペンを動かす手を休めて、ふと考える。



私は、左手で木刀を扱えるのだろうか??



(こんなところにも難題が…あーもう嫌)



自棄になりそうなのを、ため息で落ち着かせる。



今日から、左手の練習も追加しなくちゃ…!


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(…大丈夫、きっと大丈夫。

ここ数日、左手でご飯食べたりしたじゃない。

左手で木刀も振ったし…)



自分に言い聞かせながら、もう1度木刀を握り直した。



「ヤァアアアー!!」



中村くんが突っ込んでくる。



彼の構えは…上段。



私と彼の距離が60cm程になったところで、私も動き出した。



(右手で剣の中心を持ち、腰に当て…)



距離35cm、中村くんが木刀を振り上げた。



(…左手で柄を握り、安定した太刀筋を描けるよう小指を引っ掛けることでバランスをとる…)



距離3cm、中村くんが振り下ろす。



(…そこからは単純な軌道計算。

力まないで、確実に相手の胴を狙う____ )



「ッそうはさせへん!!」
「_______!!!?」



ガン……と鈍い音を立て、

















私の木刀は中村くんの木刀に抑えられた。
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