沢村くんの研究資料
私、見ちゃいました。

「私、こんなに人に信頼されたのは初めてだよ。」

「‥‥‥‥!‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥!!」

「とっても楽しかった‥‥‥」

「大好きだよ。ごめんね‥‥‥」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

この時は私にあんなの事が起きるなんて
知る由もなくて、
ただひたすらに、ほんとにマイペースに毎日生きてるだけだった。




はぁぁー。

今日も朝がやってくる。

私は窓から差し込む光が眩しくて、
少し目をつぶってみた。

私の心とは裏腹に、いかにも暑いです!
と語っているような青空。

夏休みまで残り約2週間。

「学校に行けっていう方が無茶苦茶だよー。」

とか言いながらも早々と朝の支度を整える。

中学生の頃は絶対無理だと思った化粧も今じゃもうすっかり様になってきている気がするよ。

そういえば、最初は皆可愛くて焦ってたっけ。

そんな事考えながら、朝ご飯のパンを口に詰め込む。

「行ってきまーす」

別にいつもとなんにも変わらない。

今日も同じように今日が流れていく。

それが私、音峰 香月の日常。


「おはよー香月っ」

「んぁ?あーおはよー」

「あれれ?少し眠たそうだねぇ?」

「課題がさ、全然終わんなくってー」

「くくっ‥‥。相変わらずだねぇ。」

「うるさいよー」

いつもと変わらないそんな会話をしながら、並んで学校に向かう。

私は別にバカじゃない‥‥と思うけど、
課題とかは面倒だから、ぎりぎりまで貯めるタイプ。

まぁ、やっぱりそれは授業でも現れるから、皆からはバカ呼ばわりされてます‥‥。

だってさ、勉強なんか、将来役にたたないし、絶対やるだけ無駄だよー。

本気を出したら、こんなのちょろいってー。

「おっ?やる気満々だなぁー。感心感心。音峰、もちろんこの問題解けるよな?」

嘘です。ごめんなさい。

私の学校でのオアシスは部活だけだよ。

吹奏楽部のトロンボーンパートなんだけど、小学校からやってるから、かなり上手いよ?

私の学校の吹奏楽部は全国には届かないけど、私がかなり上手いから、アンサンブルでは優勝を狙えるみたい。

皆闘志を燃やしているよー。

「あれ?楽譜はどうしたの、香月?」

げっ、まずい。教室だ!

こんな時間じゃ空いてないよ。

「先帰ってていいよー」

そう言いながら、ダッシュで音楽室を後にする。

やっぱり、夜の教室は怖いなぁ。

もうすぐ下校時間の8時半だ。

残っている生徒はほとんどいなくて、
気持ち悪い。

あれ!?

私のクラス明かりついてる?

ほんと良かったー。一人かと思ったよ。

さて、誰が残っているのかなぁ?

そう考えてた。

その直後にパァァーって青白い光が溢れ出てきた。

何これ?どっかで見たことある気が‥?

わかった!

SFで出てくる宇宙人の登場シーンだよ!

‥‥じゃなくて、え?

おかしいよ?

あんな光。

見たことないよ。

よし、覗こう。

私にも、好奇心っていうものがあるわけで。

ついつい、出来心?

うんうん、そんな感じ。

そーっとドアの窓から覗くと、
そこには、しゃべった事のない、
沢村くんと、未知の魔法陣がいた。
< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop