太陽のあいつ《完結》
プールから顔を出し、
ゴーグルを外すアツシ。


整った凛々しい眉に
丹精な顔立ち。


そんな爽やかで
男らしい顔に
見惚れていると、

「おい!池上!
早くプールから上げれよ。
このレーンでタイム計るって!」

部員のコウスケに声をかけられ、
慌てて我に返る。



「あ、あ…
分かった…」



急いでプールから上がり、
自由練習が出来るレーンへ移った。


ドキドキする胸の鼓動とどうにもならないモヤモヤする気持ち。



一体何なんだ…
アツシのことを見るたびに、
俺は変になる。


でもアツシのことを探してしまう。


プールに飛び込み、
無我夢中で泳いだ。



俺は変じゃない!
俺は女が好きだ。
サオリがいる。自慢の彼女だ。



水の中で
自分に言い聞かしながら、
全力で泳ぐ。
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