太陽のあいつ《完結》
―バン!



ピストルの音が場内に響き、
選手が一斉にプールに飛び込んだ。


大きな水しぶきを立て、
全員がクロールで進んで行く。


いつも見慣れている光景なのに、
今日の俺はどんどん感情が高まっていく。


もちろん、
アツシが泳いでいるのもあるだろう。


でもこれから
俺もここで泳ぐんだ、
早くここで泳いで、結果を出したい…という欲情が込み上げてきた。


ターンをして、
戻ってくるアツシを見つめ、
俺は「頑張れ…」と心の中で叫んだ。



もう少し…

あと少し…



トップで戻ってきている
アツシを見つめながら、
手をギュッと握る。
< 464 / 579 >

この作品をシェア

pagetop