太陽のあいつ《完結》
何も答えない俺を見つめ、
『一緒に行く』と
言わせるように
頬を突くアツシ。



「……俺は行かない」



重い口を開き、
振り絞って声を出した。



「何で?」


「だって…
母さんが悲しむ。
それに父さんだって
俺には会いたくないよ」



アツシは
俺のカラダを
ゆっくりと起こし、
肩を抱えたまま、

「そんなことないよ!
父さんはケイタに会いたがってる。
俺にはわかるんだ。
ケイタの母さんのこと考えたら、
会いにくいのは分かるけど…
今日、会わないと
今度、いつ会えるか分からないぞ!」



言い聞かせるように、
アツシは言った。
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