太陽のあいつ《完結》
俺はすぐに
自転車を走らせた。


横道に逸れ、
自動車も通ることが出来ないような
細い道を物凄い勢いで、
走らせる。


転んだら怪我をするぐらいのスピード。
でも今の俺には、
そんなこと関係なかった。

今すぐ、家に帰らなきゃ。



家に着き、
自転車を止めると、
力いっぱいドアを開けた。


玄関には見慣れない男性の靴が一足。


居間のドアが開き、
姉ちゃんが顔を覗かせた。



「…ケイタ、
ずいぶん早かったね…。
大丈夫だった?」


「うん…」


姉ちゃんが『父さんがいるよ』と
目で合図を送る。


俺も小さく頷くと
姉ちゃんの後を追うように
居間に入った。



……あ
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