太陽のあいつ《完結》
「…ね?いいの…?」



少し申し訳なさそうに
聞いてくるサオリ。



「あ、良いって。構うなって…」



何も言わず、
頷くだけのサオリを
今度は俺が手を引き、
下駄箱へ向かった。


外は大粒の激しい雨が降り、
傘を差しても肩が濡れてしまうほどだ。


俺がビニール傘を差すと
サオリはその傘に入ろうとしたが、
この雨では二人とも濡れてしまう。


サオリは残念そうな表情で、
小さなピンク色の傘を差し、
俺たちは並んで校庭を歩いた。


花壇のマーガレットは
雨に打たれ辛そうだったが、
アジサイは嬉しそうに咲いているのが目に入った。
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