にじいろなみだ


「お母さんから聞いたから」


「お母さん?」


「うん。もう死んじゃったけど」


「そうか…」


俯く人間を見て、我は桜空との会話を思い出す。


――――――――

―――――



『珠羅の花が…暖かいです』


『そうか。現実世界には暖かい花などなかったか』

『はい』


『珠羅の花は、摘み取られた時から温度が保つ花なんだ』


『へぇ…』

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