710回目の告白。~好きなのに、好きになってはいけない人~




こんがらがっていると、海聖はふっと笑って私の頭を撫でた。




「…繭歌のことなら何でも分かるよ。
俺は繭歌のことしか見てないから」




ドキッ




どうしてそんな甘い言葉をサラッと言うかな。




不覚にもドキッとしてしまった。




すると海聖はその場にしゃがみ込んで、私に背を向けた。




「…ほら、乗って?」




え、これっておんぶ?




「い、いやいいよ!一人で歩けるから!」




慌てて手を振る。
でも海聖はしゃがんだまま立とうとしない。




「俺がこうしたいんだ。だから乗って?」




こういう時は有無を言わせない静かな声色じゃなくて、優しく言うんだから。




ズルいよ、海聖は。
私の扱い方を完璧にマスターしてる。




「…お、重いよ?」




私は恐る恐る海聖の背中に乗った。




すると私の太ももに海聖の手が回り、私は地面から浮いた。



< 14 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop