710回目の告白。~好きなのに、好きになってはいけない人~
服の裾を離した。
するとすぐに離した手を海聖に握られた。
私の手を握ったまま、海聖はまた椅子に座った。
「…な、なんで……?」
驚いて海聖を見る。
海聖は私を見てふっと笑った。
「…大好きな繭歌に止められたら、こうするに決まってるだろ?」
反則だよ、本当に。
さりげなく「大好き」なんて言わないでよ。
そう思うけど、海聖が傍にいるとすごく安心する。
今朝、お母さんに『頭痛いなら学校休めば?』って言われてた。
でも私は『海聖が待ってるから』って言って家を出た。
私は海聖に会いたかったのかな。
自分の言ったことの意図が分からない。
海聖のこと好きじゃないのに。
好きになってはいけないのに、私の体は素直になってるような気がする。
でもそんな気持ちは私が目を閉じると同時に、固く鍵をかけた。