710回目の告白。~好きなのに、好きになってはいけない人~
「……ん、夢…?」
今日は変な夢を見た。
思い出したくなかったのに。
昨日、海聖におんぶされて優しくされたからだ。
もうこれ以上、海聖とは関わるなって神様が教えてくれたのかもしれない。
でも家を出れば、海聖がいつものように待っていた。
「…おはよう、繭歌。頭痛いのは治った?」
「……うん。昨日はありがとう…」
嫌な夢を見たせいで、曖昧な返事になってしまった。
海聖の顔が見れなくて下を向く。
「…じゃあ、なんで繭歌は元気がないの?」
海聖は俯く私の顔を覗き込んできた。
その優しい微笑みが、優しい声がまたあの言葉を思い出させる。
『繭歌のせいだからね。アンタが海聖くんの傍にいるから、たくさんの女子が傷ついてるんだよ』
そんなの……そんなの……
「…そんなの知らないよ!!!」
私は逃げるようにして、走り出していた。