710回目の告白。~好きなのに、好きになってはいけない人~
【side 海聖】
繭歌に今日も振られた。
もう言い過ぎて、最近繭歌には軽くあしらわれてきた。
繭歌には俺の告白はふざけてるようにみえてるのかな。
教室で俺のことを見て騒ぐ女子達がうるさい。
俺は繭歌以外の女に興味ないんだよって言ってやりたくなる。
席に座って落ち込んでいると、いきなり背中をバシッと叩かれた。
「よぉ、海聖!お前今日で繭歌ちゃんに何回振られたんだ?」
……女子達よりもうるさい奴が来た。
モカ色の髪をツンツンとさせた、朝からハイテンションの男。
そのハイテンションが欲しいくらい、今の俺には元気がないっていうのに。
元気のないまま、机の上にあったノートを開く。
「………705回目………」
「705回目!?お前どんだけ告ってんだよ!」
俺が繭歌に告白し出した中学から一緒の、冴山 圭介(さえやま けいすけ)は目を点にして驚いた。
そんなに驚くことなのか?
俺は繭歌が好きだからずっと告白し続けてるだけなんだけど。
きっと繭歌は300回くらいじゃない?とか思ってるんだろうな。
繭歌は興味がないと、適当に反応するところがあるからな。
手に取るようにして分かる繭歌を愛しく思う。