私の仕事〜逝かせる〜
他に身寄りがないトラさん。

告知は本人にされることになった。

トラさんは穏やかに聞き最後にこう言った。

「私は充分すぎるぐらい生きました。もういつ死んでもええです。何も治療はせんでええ、先生ありがとさんです。」


私の方が落ち込む。


「あとどれくらい生きれるんですかね?」

=あと、1ヶ月ぐらいでしょう=

「そうですか…思ったより長生きできるんですなぁ」と笑うトラさん。

まるで私を励まそうとしてるかのようでした。


病院で亡くなる人は多い。元気に歩いて来た人が最後は白い着物を着て永遠の眠りにつくことも日常茶飯事にある。


必死だった1、2年目とは違い、余裕がでたせいか気になり目を反らせなくなってきている。

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