True LOVE

昼休み。一年の全教室を回った。

「梗君。やりたかった事ってこれ?」

「あぁ、可愛い子探し。一人、アドレス聞いたぜ。モデルみたいにスタイルいいのな」

「いいの?」

「何が?」

「陽塚さんだよ」

「何かアホらしくなってきた。やっぱおれはいつものおれでいたい」

「そぉ…」

残念なのか、それでいいのか。どっちともわからない直の返事だった。

“これでいいんだ”自分にそう言い聞かせた。
そんな強がりで心にある穴を埋めようとしている感じだ。
全然埋めることなんて出来ないのに、無理してるみたい…

今までにない気持ちだった。


{今日アドレス聞いた梗だよ。よろしく(*^_^*)}
五時間目。忘れないうちにメールを入れた。

{うん。登録しといたよー(^^)けどまさか、聞かれるとは思ってなかったな。嬉しいな}

{瞳みたいな人に今まで聞かなかったのが不思議だよ}

{それどーゆー事?笑 けどさ、梗って陽塚さんの事好きって噂聞いたよ}

何通か滞りなく続いたメールだけど、俺の指はとまった。
アイツの名前が出たから。どう答えを返せばいいんだろうか?

{まぁ前までかな?今はマジでそんな事ねーし}

嘘ついた気がした。別に瞳ついた事には思っていない。自分の心に、自分の中の感情に、頭が逆らった気がした。すごく虚しい気分だ。

{よかったぁ。ちょっと安心かな?(≧▽≦)}

返事はすぐに返ってきたけど、返信する気は起こらなかった。

携帯をポケットにしまって、机にうつぶせた。


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