《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜

授かる生命

瑛樹が出ていき、これで二人だけの結婚生活が始まった。

瑛樹のことがあり、新婚生活を楽しむ余裕なんてなかった。



英美はこれからを楽しもうとしていたが、弘樹は瑛樹が家を出てからより無口になった。

口下手で、恥ずかしがりの弘樹には二人の生活がどうも照れくさい。

それに釣られて英美もどこかぎこちななくなる。

弘樹が家にいるのは朝の少しの時間と、仕事から帰ってきて寝るまでの数時間。

その間に会話するのは二〜三言。

英美が話して弘樹が頷く。

それが当たり前の二人の会話。

今までの殆どの会話が、瑛樹についてだったから瑛樹が出ていった今、会話がない。
< 110 / 348 >

この作品をシェア

pagetop