《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
車は、とある場所で停まった。

車から下りる弘樹の後を追うように、英美も車から下りた。

弘樹は英美にはお構いなしで、スタスタ先を急ぐ。

英美もそれに合わせて小走りで弘樹を追う。

そして、弘樹は小さな小料理屋へと消えていった。

薄い桃色の暖簾に、鮮やかな紺色で書かれた文字。



『美園』



英美は一瞬、店の前で立ち止まり暖簾の間から弘樹の姿を確認してから、暖簾を潜った。

「いらっしゃいませ。」

カウンターの中から着物姿の小さな女将が、挨拶をする。

英美は軽く頭を下げ、弘樹の隣へ座った。
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