《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
「森山さんどうぞ。」

いつもと変わらない声のトーンで、看護婦が英美を呼んだ。

名前を呼ばれた英美の心臓は、急速に脈を打つ。

何度も唾を飲み、大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐いていく…

全ての息が吐き終わった時、英美は立ち上がり診察室の前に向かった。



コンコン―――



震える手を抑え、力を一杯に腕に込め扉を叩いた。

「どうぞ。」

扉の中からはいつもの優しい声が聞こえてきた。

恐る恐る扉を開け頭を出す英美。

誠人はそのまま中へ入っていった。
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