《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
もう一度、高野先生に目をやると、黒い物体を片付けようとしていた。

英美の体を看護婦が丁寧に拭き、丸椅子に座るように促された。

英美は服装を整え椅子に腰掛ける。



沈黙が続く中、誠人の可愛い声が響きわたる。

ベッドに乗ろうとする誠人を捕まえて膝の上に乗せ、強く抱き締めた。

英美の心臓は、今にも張り裂けそうなぐらい脈を打っていて最高潮に高鳴っている。

沈黙の時間と不安の募る量が比例して上がっていく。

自分自身を落ち着かせようと、大きくいきを吸い込むも、思うように肺に入っていかない。
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