《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
静かな診察室に響きわたるのは誠人の声と、医療器具が触れ合う冷たい音―――



「明日の夕方…五時にご主人さまと一緒に来ていただけますか?」

高野先生は言葉を選びながら、英美の顔色を伺い話した。

英美は高野先生の言葉が理解できず、放心状態のまま動かない。

「森山さん?

大丈夫ですか?」

高野先生の言葉に我に返り瞬きを繰り返した。

今、先生はなんておっしゃったかしら?

英美は高野先生の言葉が頭に入っていなかった。

英美の顔を見た高野先生は再度、同じ言葉を言った。
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