《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
「突然ですが、私どもの病院ではこれ以上の治療は出来かねます。」

そう話を切り出したのは産婦人科の部長だった。

突然の言葉に動揺を隠せず頭を抱える弘樹。

部長は顔色一つ変えず、話を続けた。

「癌センターの中にも産婦人科があります。

紹介状を書きますのでそちらに移転してください。」

抱えていた頭から手を離し弘樹は顔を上げた。

「そこにいけば妻も子供も助かるんですか?」

弘樹は必死に尋ねた。

だけど弘樹の僅かな願いも一瞬で打ち砕かれた。
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