《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
何事もなくここまでこれたのは奇跡だと、医者は口を揃えて言った。



泣き言や弱音を一切吐かずに、いつでも前向きな英美。

弘樹だけじゃなく、医者も看護婦も感心していた。

英美の姿勢が病気の進行を遅らせたのだと、奇跡をもたらしたのだと、みんなが思っていた。



ジメジメした空気に乾いた音。

弘樹は目を覚ました。

リリリリリーン―――

リリリリリーン―――

目覚まし時計じゃなく電話が鳴っていた。

眠い目を擦りながら、受話器に手を伸ばす弘樹。
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