《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
英美が手術室に入ってから三十分―――



愛美は中の様子が気になるのか、扉の前から動こうとしない。

その場にしゃがみこみ英美を待つ。

誠人は弘樹の腕の中で、気持ち良さそうに寝息をたてている。

弘樹は誠人を抱いたまま動かない。

動けないでいた…



「オギャー」

手術室の中から聞こえる微かな赤ちゃんの鳴き声。

弘樹は立ち上がり扉の前に行った。

耳を澄ませてもう一度聞く…

すると次は大きな泣き声が聞こえた。

空耳なんかじゃない赤ちゃんの声。
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