《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
少し赤みをおびた頬はぷにぷにしていて柔らかい。

タオルから出す手は小さくて愛らしい。



赤ちゃんは看護婦とともにその場を去った。

「愛美、こっちおいで。」

弘樹は赤ちゃんを抱く看護婦の背中を見つめながら言葉を発した。

愛美をソファに座らせその隣に弘樹も座った。

赤ちゃんが生まれてから数時間―――



暗かった空が明るくなり、病院内も騒がしくなっていた。

それでもまだ、手術中のランプは点灯したまま。

英美が出てくる気配がない。
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