《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
時計の針が真上を指した時、ランプが消えて扉は開かれた。

酸素マスクをして点滴を打たれている英美は意識がなく眠っている。

集中治療室に運ばれる英美の後ろから汗だくの高野先生が出てきた。

「あいつは…」

「やはり無理がありました。

赤ちゃんは元気な女の子が誕生しましたが、奥様は…意識が…戻るかどうかも…」

最初、淡々と話していた高野先生だが、最後は言葉を詰まらせた。

意識が戻らないかもしれない現実…

手術前に英美よりも赤ちゃんの命を最優先に考えることで同意した手術。

医者は患者の希望を叶えた。
< 316 / 348 >

この作品をシェア

pagetop