《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
「森山さん。」

看護婦が小走りで弘樹の元に駆け寄り、息を切らしながら声をかける。

「奥様、目を覚ましましたよ。」

看護婦の言葉に弘樹は慌てて来た道を戻る。



ガラス越しに見える英美は微かに笑っていた。

弘樹はガラスに手を付けて英美に声をかける。

だが、ガラスが邪魔をし、弘樹の声は英美に届かない。

「明日になればお話もできると思いますよ。」

近くにいた看護婦が弘樹に声をかける。

「ほな、帰りますわ。」

看護婦の言葉に弘樹はまた同じ道を通り帰っていった。

そこには夢咲が生まれて初めて見せる弘樹の笑顔があった。
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