《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
チャリーン―――



いつものように優しい、風鈴の綺麗な音色が、英美を出迎える。

いつもの席に、いつもの弘樹の姿。

新聞を広げ、片手には煙草。



コツコツコツ…



わざとヒールを鳴らしながら弘樹の席の前まで行く。

「お待たせしました。」

弘樹の前で軽く頭を下げて椅子に座る。

弘樹は一瞬、視線を英美にやり微笑み、すぐにまた新聞へと視線を戻した。

素っ気ない弘樹の態度。

冷たい気もするが、英美にはそれが嬉しくさえ思う。
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