《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
玄関の木の塀に背中をつけ、体を楽にして弘樹を待つ英美。

帯のお太鼓の形が崩れないかを気にしながら体を預ける。



しばらくすると、弘樹の白い車が英美の前に停まった。

無言で車に乗る英美。

弘樹も何も話さない。



無言のまま、初めて会った料亭に到着した。

車を下り、日本庭園が見える廊下を一歩、一歩進んでいく。

足の裏から伝わる空気。

重い足取り…

破裂しそうな心臓…

英美は極限の状態で歩いていく。



一番奥の部屋の前で仲居さんは止まり両膝をつく。
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